2018年8月号
特例事業承継税制が適用できるかどうかのチェックポイント
利用しやすくなり関心の高い特例事業承継税制(特例税制)ですが、適用には、
先代経営者、後継者、会社に一定の要件があるため注意が必要です。
先代経営者は、相続等の開始前までに、代表者であったこと、被相続人と同族関係者で
議決権株式総数の50%超を保有し、かつ筆頭株主であったことなどが要件で、後継者は、
株式の贈与までに代表者であること、役員就任後3年を経過していること、同族関係者の
なかで、議決権数の最上位者であること、などが必要です。
会社は、資産管理会社(一定のものを除く)、医療法人、社会福祉法人、風俗営業会社
などは適用対象外になるため注意が必要です。
月次決算データは経営者と社員、金融機関、会計事務所との共通語
月次決算は、毎月の業績をいち早く掴み、経営に役立てるものですが、月次決算
データを経営者だけが利用するのではなく、経営者と社員、金融機関、会計事務所と
間で業績を見るための共通語として経営に活かしましょう。
月次決算データを共有化することで、経営者と社員が同じ方向を向いて営業活動に
取り組むことができます。金融機関に対しては、経営状況を経営者が説明することで、
金融機関からの信頼が高まります。会計事務所との間で、月次決算データを対話ツール
として活用し、的確なアドバイスを受けましょう。
月次決算データを共通語として経営に生かすには、月次決算の早期化と精度の向上が
必要になります。そのためには、売上、仕入れを早期に掴む仕組みづくりや経費の
月割計上、概算計上などについて、自社に合った経理処理を当事務所とともに検討し
ましょう。
労務トラブルを防ぐためのルールブックはありますか?
「働き方改革関連法」は、経営者にとってみれば、労働規制の強化といえます。
しかし、中小企業では、労働法規の理解が不十分のまま、雇用についての最低限の
ルールすら守られていない例が多くあります。
近年、従業員の労働法への意識が高まっており、在職中は何事もなくても、退職後に
訴えを起こされる例も決して少なくありません。まずは、会社のルールブックとして、
作成義務の有無に関わらず、就業規則を整備しましょう。就業規則は、労務トラブル
防止に役立つほか、社員が安心して働けるという効果があります。